渡辺百合子「公務の非正規・女性労働者の声を伝える──「はむねっと2025年・実態調査」から」

渡辺百合子「公務の非正規・女性労働者の声を伝える──「はむねっと2025年調査」から」」『経済』第365号(2026年2月号)pp.112-114

 

雑誌『経済』第365号(2026年2月号)で「非正規の公務員はいま──制度、運動の焦点」と題した特集が組まれました

本稿はそのうちの、「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」共同代表の渡辺百合子さんの論考です。どうぞお読みください。

 

 

◆非正規公務員の8割が女性

国や自治体で働く非正規公務員の8割が女性!公務非正規労働はまさにジェンダー問題であると、2021年3月に「公務非正規女性全国ネットワーク」(略称・はむねっと)は、たちあがった。非正規で公務に働く女性は8割を占める。本会員20数名のほとんどは現職もしくは元職の非正規公務員であり、研究者を含む緩やかな組織体として、調査結果をもとにして、国や自治体に要求をあげる活動を続けている。

活動開始直後の2021年4月から、インターネットで直接回答を受け付ける調査を行った。21年7月に調査結果を公表すると、「当事者による初めての全国調査」、「5割以上が年収200万円以下」と広く報じられた。「はむねっと」は、その後も毎年調査結果を分析し報告集を発行するとともに、前年調査で問題となった項目について設問を加え調査を継続してきた。2025年調査(実施期間;5月19日~6月22日)は5回目となり、有効回答480件のうち新規回答者は64%に上った。

回答の7割を「パートタイム会計年度任用職員」が占め、全体の36%が自分の名前以外で呼ばれた経験をもつ。例として「補助員」「会計年度」「会任」「年度」などの回答があった。「非正規でありながら、新人研修を行っている」などの記述が毎年寄せられるため、今年は担っている業務を聞いたところ、「正規職員に仕事を教えている」「決裁書の起案をしている」という正規同等がそれぞれ25%以上、「物品購入」「人材育成」が20%以上であった(表)。

◆必要な情報が知らされていない

一方、年収については200~250万円未満の層が、最も多い傾向は変わらない(図1・21~24年では24%以上、25年は19%)。総務省は待遇改善を進めているというが、勤務時間や月の支給額を減らしている自治体があり、改善が見えてこない。

アンケートの自由記述には、当事者の訴えが数多く寄せられた。

「7時間半の勤務時間が突然7時間に減らされた。最低賃金上昇に伴い時給も上がったのに、未来への希望が描けない」。「今年度から賞与が期末手当+勤勉手当の二本立てになる代わりに、毎月の給料が月一万円以上減らされ、年収ではほとんど変わらないと言われても、非常に不可解」。

同じ職場に11年以上という長期勤務の人が21~24年では17%、25年は21%と毎年2割近く、勤務6年以上ではほぼ4割存在することは「会計年度毎任用」という制度のおかしさを示す。くわえて、勤務年数にかかわらず、勤務内容、待遇について必要な情報が入手できていない状況が明らかになった。たとえば「人事評価制度」や「結果の開示」について「わからない」はどちらも20%以上。「病気休暇の有無」については「わからない」が28%、「不服申し立て窓口」は同60%にも達している。この状況に、「年度内で、定型業務をやってもらうのであれば理解できる制度、実態は複数年同じ業務を継続雇用している」「再度任用されて勤務年数が長くなっていくと昇給はないのに業務や責任が少しずつ増えていく悪循環」「メンタル相談だけは非常に充実しているが、ワンストップで相談に応じてくれるところが必要」との強い不満、改善要求が表明されている。

◆細切れ雇用、「やりがい搾取」

「働くなかで感じる問題はなにか」(図2・上位三つを選択)の設問では、昨年同様、「雇用が不安定」がもっとも多く、「正規登用の道がない」「給与が低い」「やりがい搾取」と続く。会計年度任用職員制度開始から6年。5年にわたる調査を行ってきたが、学校現場での学期ごと雇用に見られるように不安定細切れ雇用が続いている。

「担当校が中高合わせて8校もあり、…勤務時間はきっちり(8校あわせて週)20時間と決まっていて、残業に対しては給与がなく、学期任用のため収入が少ないにも関わらず、社会保険を支払うので給与がかなり低くなりました。担当校の数が多すぎる点、その割に給与面の待遇も悪く、学期ごとの任用のため有給もなし(欠勤扱い)で、まさにやりがいだけを搾取されている」。

こうした非正規の現状・声を伝え、変えていくため、つながっていきたい。

 

 

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